前立腺肥大症と同じように、前立腺がんも年齢が高くなるにつれて、増えてくる病気です。 現在、日本での患者数は100万人以上いるといわれ、50歳以上の男性の約300人に1人がかかっています。
前立腺がんと前立腺肥大症は前立腺の中で発症する場所が異なったまったく違う病気です。
前立腺がんは前立腺の外腺(外側の組織)に、前立腺肥大症は内腺(内側の組織)にできる病気なので、前立腺肥大症から前立腺がんに進展するということは、まずありません。ただし、2つの病気が同時に起こる場合もあるため、前立腺肥大症があるから、自分は前立腺がんにはならないと考えるのは間違いです。それぞれ別にかかる可能性のある病気として、気になる症状があった場合には、早めに泌尿器科を受診し、前立腺がんのチェックも受けておきましょう。
PSA(前立腺特異抗原)は前立腺から分泌(精液中に放出される)されている物質です。正常な方の血液の中にもわずかに含まれていますが、前立腺に異常があると濃度が高くなります。前立腺がんがある場合も鋭敏に数値が上がるため、がんをチェックする有効な指標として使われています。
前立腺がんは外側から発生するので、腫瘍が大きくならないと尿道や膀胱を圧迫しにくいので、排尿障害が出ないことがあります。また癌がかなり進行して骨に転移して痛みが出てから前立腺がんが発見されることもあります。 早期に診断するためには血液検査でPSA(前立腺特異抗原)を測定することが必要です。
PSAが血液1mL中に4ng以下ならば「正常」、4.1~10ng/mLなら「グレーゾーン」、10.1ng/mL以上なら「がんが疑われる範囲」とされており、グレーゾーンなら25~30%、10ng/mL以上なら50~80%の確率で前立腺がんが発見されます。
非常に有効な検査ですが、PSA値は前立腺がん以外の異常(前立腺肥大症、前立腺炎など)でも上昇するため、PSA値が高い方すべてにがんが発見されるわけではありません。また、PSAが正常値であってもがんが発見されることもあります。1回で判断ができない場合は、時間をおいて数回測定し、数値の動きを見る場合もあります。
がん細胞があるかないか、細い針で前立腺の組織を採取して調べます。直腸から超音波検査の器具を入れて、画像で確認しながら10~12カ所の組織を採取します。採った組織を調べ、がんが存在することが確認された時点で初めて、前立腺がんと診断されます。 前立腺がんが認められた場合は、がんの顔つき(性状、細胞の形や配列)を調べます。これによってがんの悪性度が分類されます。
がんがあると判った場合、前立腺の周囲に浸潤していないか、リンパ節や骨に転移していないかなどの検査をおこないます。